母にっこり

雑節の中には、とても有名な『節分』や『彼岸』がありますよ~。

節分も彼岸も、私たちの生活の一部といっても過言ではない位、なじみのあるものですよね。
それらを含む雑節ざっせつとは、昔の日本人、とりわけ農作業を行う庶民たちにとってはなくては困る、季節の目印のようなものだったんです。

国立天文台のHPの令和4年(2022年)暦要項『二十四節気および雑節』に載っている雑節を参考に、ご紹介していきますね。

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雑節は、日本の季節や生活・文化に寄り添った日本独自の季節の目安です。
日本の生活様式、とりわけ庶民の生活に欠かせない農作業の観点から設けられました。

中国から伝わった五節句(桃の節句や端午の節句など)、二十四節気(立春、春分の日など季節を二十四に分けて名前をつけたもの)だけでは表しきれない、日本の季節の移り変わりをより正確に表すためのものなんです。

2022年『雑節』一覧 日付順

土用(冬)1月17日~2月3日
節分2月3日
彼岸(春)3月18日~3月24日
土用(春)4月17日~5月4日
八十八夜5月2日
入梅6月11日
半夏生7月2日
土用(夏)7月20日~8月6日
二百十日9月1日
彼岸(秋)9月20日~9月26日
土用(秋)10月20日~11月6日

土用や彼岸の期間が複数あるので多く見えますが、実際には、

土用
節分
彼岸
八十八夜
入梅
半夏生
二百十日

この7つです。
(※ 現在『二十四節気および雑節』に載っていないものが他に2つあるので、後でご紹介しますね。)
それぞれを簡単に説明していきますね。

土用

うなぎとうな丼のイラスト土用の丑の日で有名な土用です。
うなぎを食べる夏のイメージが強いですが、土用の期間は四季それぞれにあり、立春・立夏・立秋・立冬の前の約18日間をいいます。

この土用期間の最終日が『節分』となります。土用は次の季節へと移る境目の期間なんですね。

土用期間中の丑の日(子・丑・寅…の十二支の丑)のことを、土用の丑の日といいます。

節分

節分の名前の通り、季節の分かれ目の日です。

母にっこり

旧暦では春から新年が始まったため、春の節分は新年の始まりの日の前日で現在の大晦日にあたるとても大切な日でした。

季節の節目、年の変わり目には邪気が入り込むとされていて、邪気払いを行い新年を迎えていました。
現在も行われている豆まきも、邪気払いのひとつです。

節分は元は四季にあり、それぞれ立春・立夏・立秋・立冬の前日のことでしたが、今では春の節分(立春の前日)を節分といいます。

彼岸

お彼岸は年に2回あります。3月の春のお彼岸と9月の秋のお彼岸。
それぞれ、春分の日、秋分の日を中日として、前後3日間の計7日間がお彼岸の期間になります。

もともと彼岸は仏教用語で『あちらの岸』、仏様がいらっしゃる煩悩のない世界のことをいいます。
(その反対側の私たちのいる世界は此岸(しがん))

彼岸とはもともと仏教用語なのですが、インドなどの他の仏教の国にはお彼岸の行事がないので、これは日本独自のものだと考えられています。

八十八夜

美しいお茶畑の写真『夏も近づく八十八夜~♪(文部省唱歌:茶摘)』の歌にある通り、八十八夜は春が終わりに向かい夏が始まる、季節の境目の頃。
立春を第一日目として八十八日目のことで、毎年5月2日前後が八十八夜にあたります(2022年は5月2日)。

5月初旬といえば暖かく穏やかな気候の日が増え、霜の心配がなくなる季節。八十八夜は田植えの準備やお茶摘みをする目安になるんですね。

お茶の新芽は栄養が豊富なので、八十八夜に摘んだ新茶を飲むと長生きできるという言い伝えもあります。
その外にも八十八夜は、

『八十八』を組み合わせると『米』になるので農業の吉日
『八十八』は末広がりの八が重なっている

このことから、とても縁起が良いとも言われています。

入梅

梅雨の雨が降り始める頃、暦の上では6月11日頃が『入梅』です。

『入梅』が暦に登場するのは1600年代の終わり、江戸時代初期なのだそう。
田植えの日取りを決めるのに梅雨入りの時期を知るのはとても重要なことで、正確な気象情報がなかった昔は『入梅』を梅雨入りの目安にしていたんですね。

ちなみに現在では、気象庁が発表する『梅雨入り宣言』が梅雨の始まりの目安になっていますね。

母にっこり

2021年は九州や四国地方などで、例年より20日程も早い梅雨入り宣言で驚きましたね。
今年はどうでしょうか?

入梅、梅雨、どちらにも『梅』の字がつくのは…
● 梅の実が色付き始める時期だからという説
● 湿気が高くカビが生えやすい時期に降る雨の『黴雨(ばいう)』が『梅雨』に転じたという説
など諸説あります。

半夏生

綺麗な半夏生の写真農作業のとても大切な日で、『はんげしょう』と読みます。

昔からこの日までに田植えを済ませないと秋の収穫量が減ると言われ、大事な節目の日でした。
毎年7月2日頃(太陽黄経100度)です。

『半夏生』の名前の由来で有名なのは、
・『半夏』の別名である『烏柄杓(カラスビシャク)』という薬草が『生える』時期だから
・『ハンゲショウ』という葉が半分、お化粧したように白くなる(半化粧)の花が咲く時期だから
この二つの説です。

二百十日

立春(2月4日頃)から数えて210日目のことで、毎年9月1日前後が二百十日(にひゃくとおか)にあたります。

この頃は台風が多く襲来し、農作物に甚大な被害を与えるので、農家の厄日、荒れ日とされてきました。

また海に出る漁師さんたちにとっても、漁に出られるか・海が荒れて海難事故に合わないかなど、生死にも大きく関わるので、注意喚起のためにこの日が設けられたそうです。

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後期

どの雑節も、とても馴染みのあるものでしたね。
特に、

● 豆まきをする節分
● お墓参りをするお彼岸
● うなぎを食べる夏の土用

などは、年中行事として私たちの生活に密接に関わっていると感じますし、季節とぴったり合っているので覚えやすいですよね。

母にっこり

私自身は、独身の頃は年中行事を余り気にせず過ごしていました。
節分もテレビで芸能人が豆まきをしているのを見て、節分だな~と思っていたくらいで。
子供がいる今では、この3つの行事は欠かさず行っています。

最後に、現在は国立天文台の暦要項『二十四節気および雑節』に載っていない2つの雑節をご紹介しますね。

現在は『二十四節気および雑節』に載っていないもの
  • 社日
  • 『社』は土の神、土地の守護神を意味し、社日(しゃにち)は生まれた土地の神『産土神(うぶすなかみ)』を祀る日。
    年に2回あり、春分の日・秋分の日に最も近い『戊(つちのえ)の日』です。

    春の社日は種まきの時期、秋の社日は収穫の時期にあたる、とても重要な節目の日です。

  • 二百二十日
  • 二百二十日(にひゃくはつか)は、立春から数えて220日頃のこと。
    二百十日と同じく、台風の被害を警戒しなければならない時期です。

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